アルミTIG溶接とは?
溶接と言ってもいくつか種類があり、大きく分けて融接、圧接、ろう付けの3つがあり、融接の中にはアーク溶接、ガス溶接などの種類があります。そして、この中にはTIG溶接と呼ばれる溶接方法があり、中でもアルミをTIG溶接するのは少々難易度が高くなると言われています。
では、TIG溶接機の特徴やアルミTIG溶接をする時の方法やポイントなどをみていきましょう。
TIG溶接機の特徴
それではまず始めに、TIG溶接の特徴を解説しておきます。
メリット | デメリット |
---|---|
音がとても静かである | 高価な不活性ガスが必要 |
スパッタと呼ばれる火花のようなものが発生しないため、溶接作業が簡単 | 溶接速度がアーク溶接などに比べると遅い |
どんな形状にも対応できる | 難易度が半自動溶接より少し高い |
溶接姿勢が自由である | |
溶接部分の仕上がりがアーク溶接やガス溶接などに比べてキレイ | |
薄板溶接も可能で裏波溶接がしやすい |
以上、TIG溶接の特徴です。TIG溶接に向いている素材としてはステンレス、アルミになります。
TIG溶接を始める前に準備しておくもの
TIG溶接を始めるにあたり、必要なものを紹介しておきます。
- アルゴンガスボンベ
近所にある××ガスなどからレンタルする事も可能です。 - 電源
TIG溶接機によって必要ボルト数が違ってきますが、だいたい200Vあれば大丈夫です。場合によってはブレーカーが落ちてしまう可能性があるので、使用する前にしっかり確認しておきましょう。 - 皮手袋など保護具
TIG溶接機を選ぶ時の注意点
TIG溶接機を選ぶ時のポイントとして
- 何ミリぐらいの物を溶接したいのか
- アルミを溶接する予定があるか
この2点がポイントになってきます。アルミを溶接する場合は直流と交流の切り替えができるWT-TIG200でしか溶接することができません。
アルミを溶接するかしないかで選ぶTIG溶接機が変わってくるので注意しておきましょう。
弊社では、このような部分も完備しておりますので、お客様のご要望に応えることが出来ます。
アルミTIG溶接のポイント
アルミの溶接は、ステンレスなどの溶接に比べて少し難易度が上がります。それはアルミが鉄などに比べて熱の伝わり方が非常に良いためです。アルミニウムの融点は660度と鉄(1540度)に比べてとても低いのですが、熱伝導率が非常に高いため、熱がどんどんどんどん周りに逃げていってしまいます。
そのため、プールが非常に出来にくくなってしまうんです。ということは、前半はゆっくりで後半は急いでトーチを溶かしていく必要があります。融接プールの大きさを見ながらトーチを溶かす速度を早くしていきましょう。母材の大きさにもよりますが、小さければ小さいほどアルミTIG溶接は難しくなっていくので、ここは我々プロにお任せ頂ければ何の心配もいりません。
また、2枚の母材を溶接するとして母材どうしを溶かしてプールを作らなければならないのですが、アルミの場合溶けてもサラサラしていないのでなかなかプールを作りにくいです。どちらかと言えば粘り気のあるドロッとした感じなので板同士が一体化せず、溶け落ちてしまいます。
プールができない限り溶接はできないので、溶接棒を使うことでプールを作っていきます。
アルミ溶接の溶け込み不良が起こった場合
上記のアルミTIG溶接のポイントを気を付けていても溶け込み不良が起こってしまう場合があります。その時の改善方法としてパルスを使う方法があります。パルスを使うと高い電流と低い電流を交互に流すことができるので、高い電流で母材を溶かし、低い電流でプールを固めれば溶け込み不良を防げます。
また、混合ガスを使用しても良いです。一般的にTIG溶接の時はアルゴンガスを使うのですが、例えばこれをアルゴンガスとヘリウムガスの混合ガスを使うとアルゴンガスのみの時に比べて溶け込みを深くすることができます。
以上がアルミTIG溶接のポイントとなります。